デジタルビジネスデューデリジェンス(DBDD)サービス概要
デジタルビジネスデューデリジェンス(DBDD)はデジタル関連ビジネスに特化したビジネスデューデリジェンスサービスです。
SaaS、Eコマース、オンラインメディア、O2Oなどのオンライン上のサービス、アプリを使ったサービスやゲーム、D2Cブランド、ウェアラブル機器などを活用したサービスなど様々なビジネスがデジタルをベースに行われています。また、多くのビジネスがサイト・アプリやSNSを活用し顧客とつながりを持っています。
デジタルビジネスデューデリジェンスサービスでは、これらデジタル関連のビジネス専用にデザインされたフレームワークに基づき、デジタル領域の専門家が分析・評価し、出資やM&Aの意思決定を支援します。
出資やM&A実施前におけるデューデリジェンスとして、対象事業の現状分析や改善施策立案・ポテンシャル試算、収益のシミュレーションにも対応しています。
デジタルビジネスデューデリジェンス(DBDD)の重要性
近年の多くのデジタル領域の成長は目覚ましく、デジタル関連ビジネスへの出資やM&Aは増加しています。プライベートエクイティファンドやベンチャーキャピタルによるデジタルビジネスへの出資だけではなく、事業会社が短期間でデジタル領域を強化するためにデジタルビジネスを買収する動きも見られます。そのためデジタルビジネスに特化したデューデリジェンスのニーズが高まっています。
デジタルビジネスのデューディリジェンスも通常のビジネスのデューディリジェンスと要素は同じですが、変化が速いため外部環境についてのより深い知識と洞察、内部環境を評価するための専門知識が要求されます。
- 外部環境分析
- 市場環境、競争環境、顧客動向といった外部環境の評価・予測
- 対象事業のポジショニング、中期経営計画評価・策定
- 内部環境分析
- 組織ケイパビリティ、システム評価
- オペレーションの品質評価、改善ポテンシャル(短期~中期)の算定
デジタルビジネスは市場環境、競争環境、そして顧客動向といった外部環境の変化が非常に速いのが特徴です。次々と新しいテクノロジーや新しいサービスが生まれ、誕生から2~3年で普及するテクノロジーやサービスがある一方、数年前に注目を集めていたテクノロジーやサービスが新しいテクノロジーやサービスによって駆逐されることもあります。
このように変化の速いデジタルにおいては最新の外部環境や将来予想される外部環境の分析に基づくポジショニングの理解が欠かせません。中期経営計画が絵に描いた餅である可能性が高いのがデジタルビジネスであり、中期経営計画の確度を上げるためには外部環境についての深い知識と洞察が必要となります。
また、外部環境変化に対応した組織ケイパビリティを保有しているかも大事な要素になります。昨日と同じことをやっていては衰退するのがデジタルビジネスであり、将来変化を予想して先手を打った対応をできる組織ケイパビリティを持っていること、拡張性のあるシステム設計がされていることは競合優位性となります。
オペレーションにおいて高い専門性が要求されるのもデジタル領域のビジネスの特徴です。デジタル分野での専門性を有しているコンサルタントだからこそ、オペレーション戦略を立案・実行できる体制となっているかを評価し、かつ、並行して短期~中期での改善ポテンシャルを算定することが可能となります。この点は、出資者/バイサイドが買収後の改善ポテンシャル・事業評価額を算定するうえで重要な要素となっております。
ブースト・コンサルティングの提供価値
専門家によるデジタルビジネスに特化したデューデリジェンスの実施により、該当企業/事業の外部環境と内部環境の分析を通して、重要成功要因(キーサクセスファクター)、機会、ポテンシャル、強み/弱みやリスクを明らかにし、出資者/バイサイドの意思決定を支援します。
ブースト・コンサルティングは、デジタル領域に特化したコンサルティングファームとして、ビジネス戦略立案からオペレーションの支援まで様々なレイヤーで様々な規模・業界のクライアント企業を支援しています。その経験をベースにデジタルビジネスデューデリジェンスを設計し、常にその内容を見直すことにより、最先端のデジタルビジネスデューデリジェンスを提供します。
デジタルビジネスデューデリジェンスはビジネスコンサルティングファームやデジタルエージェンシーの出身者、デジタルビジネスへの投資、新規デジタルビジネス立ち上げ経験者やデジタルビジネス運営の実務経験者など経営から現場まで様々なレイヤーを熟知したエキスパートで構成されるチームによって行います。
ブースト・コンサルティングの強み
デジタルビジネスに特化した経験・デジタルビジネスにおける幅広い経験
- ビジネス戦略、組織設計、マーケティング戦略、オペレーション戦略やオペレーション支援までデジタルビジネスの上流から下流まで様々なレイヤーでクライアント企業を支援
- グローバル企業、ナショナル企業やスタートアップといった様々な規模のクライアントの国内外市場や海外進出を支援
- 物販やサービスのB2CからB2Bまで様々な業種のクライアントを支援
エキスパートによるチーム
- ビジネスコンサルティングファーム出身者
- デジタルエージェンシー出身者
- コストマネジメントコンサルティング出身者
- デジタルビジネスへの投資経験者
- 新規デジタルビジネス立ち上げ経験者
- デジタルビジネスの運営経験者
データに基づく定量化
- 各種データの分析やベンチマークによる改善のポテンシャル定量化
- 施策実行に必要な投資額と費用対効果試算
- コスト削減効果試算
デジタルビジネスデューデリジェンス(DBDD)
デジタルビジネスデューデリジェンス(DBDD)では6つのカテゴリーの評価を実施しレポーティングを行います。
評価カテゴリー
外部環境分析
市場環境、競争環境、顧客動向などの外部環境の評価・予測
- 市場・競争環境
- 顧客動向
- バリュードライバー
- 重要成功要因
対象事業のポジショニング、中期経営計画評価・策定
- ポジショニングと成長/拡張可能性
- 中期計画の評価・策定
- KGI/KPI理解
内部環境分析
組織ケイパビリティ評価
- 組織計画
- 現状の組織体制
- 役割・責任・KPI
- キーパーソン
- デジタルビジネスの経験
- データ活用
- 内製化/外注
- 外部パートナー依存度
- 外部パートナー
システム評価
- システム戦略/計画
- 現行システム/インフラ全体構成・連携状況
- 基幹システム
- 集客マーケティング関連:顧客CRMデータベース
- 物販サービス関連:ECプラットフォーム/スクラッチ開発、PIM、在庫管理/物流、POS
- アプリ関連:アプリプラットフォーム/スクラッチ開発
- メディア関連:CMS
- 現行システム/インフラの拡張性、移行のメリット・デメリットの評価
- データ取得・統合状況
- 顧客情報
- 集客マーケティングデータ
- サービス関連データ
- データ取得・統合改善余地
オペレーションの品質評価、改善ポテンシャル(短期~中期)の算出
顧客評価
- 顧客の獲得・育成戦略
- 既存顧客基盤分析
- 顧客数推移
- 継続率/解約率
- 再アクティブ化率
- 重要顧客/顧客セグメンテーション理解
- ライフタイムバリュー
- 顧客セグメント別
- 重要顧客依存度
- 新規/リピート売上
- ライフタイムバリュー
- 獲得顧客育成
- 獲得顧客育成/ロイヤルティプログラム
- 顧客獲得コスト
集客マーケティング評価
- 集客戦略
- 注力トラフィックソース
- ブランディング/獲得
- トラフィックパフォーマンス
- トラフィック推移・シェア
- トラフィックソース別
- トレンド/特徴
- 価格弾力性
- 季節性 など
- トラフィック推移・シェア
- 広告パフォーマンス
- 主要KPI
- 広告代理店マネージメント
- 集客成長余地
サービス評価
- ファネル分析
- パフォーマンス推移
- UI/UXヒューリスティック評価
- UI/UX改善活動状況
- サービス
- カスタマーサービス
- ショッピングサービス
- 返品・交換、ギフト・配送
- 競合比較
- サービス改善余地
レポーティング
外部環境分析
- 市場環境、競争環境、顧客動向などの外部環境の評価・予測
- 対象事業のポジショニング、中期経営計画評価・策定
内部環境分析
- 組織ケイパビリティ評価
- システム評価
- オペレーションの品質評価、改善ポテンシャル(短期~中期)の算出
- 顧客
- 集客マーケティング
- サービス
デジタルビジネスデューデリジェンスプロジェクト事例
プロジェクト概要
出資を通じて既存事業の強化を狙うクライアントA社に対し、1ヶ月強の短期間でECビジネスのデューデリジェンスを実施。
リスクを評価するとともに今後10年間のEC事業の売上ポテンシャルを定量化。
背景
様々な事業を行うクライアントA社は国内外に幅広いネットワークや関連企業を持つ。そのネットワークや関連企業を含めた幅広い知見を活かし出資やM&Aにより既存事業を拡大していた。
投資対象となるメーカーB社は過去に成長していたものの、市場がプラス成長する中、近年はマイナス成長と苦戦しており、競合他社よりも低い成長率となっていた。
クライアントA社はメーカーB社への投資を通じて既存事業の強化を狙っており、自社のネットワークや関連企業を含めた知見を活かすことにより、メーカーB社を再び成長させるとともに、グローバル/アジア市場への事業拡大を狙っていた。
メーカーB社への出資検討にあたっては、デューデリジェンスを行い出資のリスク・妥当性の洗い出しが必要であるが、メーカーB社のビジネスの成長にはEC事業の強化が重要と考えられ、法務や財務税務のデューデリジェンスに加え、ビジネスデューデリジェンスの一環として以下の2点を含むECビジネスのデューデリジェンスを必要としていた。
- EC事業のリスクと伸びしろの見極め
- EC基盤の切り替えやシステムの統廃合によるリスク評価とコスト削減効果の試算
ブースト・コンサルティングの選定理由
ECビジネスのデューデリジェンスにおいては、ECビジネスに関する専門的な知識はもちろん、変化の速い外部環境についての深い知識と洞察やビジネスの成長を支えることになる内部環境を評価するための専門知識が求められる。
様々なクライアントのデジタルビジネスの成長を戦略からオペレーションまで幅広く支援してきたブースト・コンサルティングの豊富な経験・知識や専門性はECビジネスのデューデリジェンスを行う上での必要条件であるが、EC事業におけるリスク評価、システム評価に加え、成長見込みを定量化するノウハウ、サイトリプレイスや業務の内製・外注化の収益性シミュレーションの知見などをご評価いただき、プロジェクトのご支援の機会をいただいた。
プロジェクト内容
プロジェクトではまず内部調査と外部調査を行い、現状の課題の洗い出しを行った。
洗い出した課題について解決のための施策を立案し、立案した施策のポテンシャルを定量化。
最後に各施策の必要投資額を試算し、施策の実現可能性を評価した。
内部調査
内部調査はメーカーB社のFA(ファイナンシャル・アドバイザー)を通して入手した情報、メーカーB社ご担当者へのインタビューやQ&Aの内容、および公開情報等を評価・分析した。
評価・分析項目
- 組織体制
- 内製化/外注の状況
- 現行システム・インフラ構成・連携状況や拡張性
- 既存顧客基盤
- 顧客育成
- トラフィックパフォーマンス
- 広告パフォーマンス
- ファネル
外部調査
外部調査は市場・競争環境に加え、競合他社の戦略や取り組み、UI/UX調査と類似業界を含む国内外のベストプラクティスの調査を実施した。
評価・分析項目
- 市場・競争環境
- 競合調査
- デジタル戦略・D2C戦略・EC事業戦略
- オンライン・オフラインにおける顧客育成や顧客接点強化の取り組み
- UI/UX
- ベストプラクティス調査
- 類似業界や他業界など幅広く調査
課題整理・施策立案
内部調査、及び外部調査から洗い出された課題について課題の大きさを評価して整理。課題の大きいものから順に課題解決の施策を立案し、立案施策のポテンシャル定量化を行った。ポテンシャルの定量化においては、現状ベースでのポテンシャルに加え、今後10年間のポテンシャルを定量化した。
また、施策実行において必要となる初期投資、運用費用や追加の運用工数を試算し、施策実行におけるCAPEXと追加のOEPXを試算し、施策の実現可能性を評価した。
レポーティング
本プロジェクトは週次でクライアントA社と定例ミーティングを行い、出てきた論点の議論やプロジェクト進行における課題について議論を行うなど、密にコミュニケーションを取りながら進行した。
内部調査、及び外部調査後には抽出課題についてクライアントA社に報告し、最終報告では10年後のEC事業の売上ポテンシャル、そのために必要な投資額を報告するとともに、各施策のポテンシャル定量化の根拠の説明や施策の具体例の説明を実施した。
プロジェクトにおけるチャレンジ
上流課題の抽出
EC事業の成長の阻害要因として、会社全体のビジネス戦略やマーケティング戦略など上流の戦略に課題を抱えているケースも多い。そのためECビジネスのデューデリジェンスを行う際にはビジネスの上流の課題についても意識して行う必要がある。本プロジェクトにおいても、EC事業単体ではなく、その上流について存在する課題の洗い出しについても意識して調査を進めた。
その結果、実際に抽出された課題のうち最も大きな機会は上流におけるマーケティング戦略であった。その点を考慮し、EC事業における施策のポテンシャルの定量化を実施する必要があった。
タイトなスケジュール
デューデリジェンスは既に決まっている出資やM&Aの全体のスケジュールに合わせて短期間に集中して行うことが多い。
本プロジェクトにおいても、1ヶ月強という非常に短期間でのECビジネスデューデリジェンスになった。
そのため内部調査と外部調査を並行して短期間で実施した。評価・分析においては弊社内に蓄積していた情報やフレームワークを活用することにより、短期間で可能な限り広く・深く評価・分析することを心掛けた。
データアクセスへの制約
出資やM&Aのデューデリジェンスにおいては入手できる情報が限られるケースが多い。
本プロジェクトにおいては、データの入手をメーカーB社のFA(ファイナンシャル・アドバイザー)経由で行う必要があったためコミュニケーションコストが高く、データの入手に時間がかかったり、必要なデータが手に入らなかったりと、データ入手にかなり苦労した。また、メーカーB社の担当者へのヒアリングも1回のみで時間が非常に限られていた。
データ提供依頼に工夫をするなどの対策を講じたが、結果として満足できるデータを入手することはできなかった。
プロジェクト期間も限られていたため、データ分析においてはその時点で入手したデータに過去の様々なプロジェクトから得られたベンチマークを加えて分析を進め、新たなデータを入手したらベンチマークと置き換えるなどの工夫をして分析を進めた。
また、入手できなかったデータについては入手したデータと弊社内のベンチマークデータを掛け合わせることにより推計を行いデータを補った。
プロジェクトの成果
データへのアクセスが限られる中、短期間で幅広く、かつ深い分析が求めれられるプロジェクトであったが、EC事業の上流の課題であったマーケティング戦略について戦略強化の方向性と戦略強化によるビジネス全体へのインパクトを提示し、それを踏まえた上でEC事業の今後10年間の売上ポテンシャルと必要投資額を提示した。